乾燥オリーブ葉を添加した採卵鶏飼料の検討
○西山由紀1、上田真里2、猿渡亨丞2、玉屋 圭3、吉井重忠4、内川昌彦5、石丸幹二2、山中賢一1,2、和田康彦1,2
1鹿大院連合農学、2佐大農、3長崎県工業技術センター、4堀内組、5諫早農業高校
【目的】オリーブ葉にはオレウロペインなどの抗菌作用や抗酸化作用、血管拡張作用などを持つポリフェノール類が多く含まれているが、畜産分野での利用実績は乏しい。そこで、乾燥オリーブ葉粉砕物を採卵鶏飼料に添加し、その飼料添加物としての可能性について検討した。【方法】乾燥オリーブ葉粉砕物5%添加区とコントロール区にゴトウ130を30羽ずつ配置し、発育、産卵数、卵重、卵質を調査し、卵の成分分析、成鶏の血液生化学分析、卵の官能検査などを行った。【結果】100日齢までの発育には両区で有意差はなかった。平均卵重、産卵率において両区間で有意差はなかったが、添加区の方が平均卵重は重い傾向を示した。栄養成分分析の結果、全卵の脂質、ビタミンA、ビタミンE、卵黄のアスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、アラニンで添加区が高い傾向を示した。添加区の卵においてはオレウロペインなどのポリフェノール類の移行は認められなかった。一方、成鶏の血液生化学分析では総コレステロール、遊離コレステロール、中性脂肪、総ピルビン酸などで添加区が有意に低かった。アンケート調査結果では70%がオリーブ葉添加の卵に好印象を持っており、官能検査の結果、61%が卵白に弾力があると回答した。これらの結果より、乾燥オリーブ葉粉砕物による生産性の向上は見られなかったものの、鶏の健康状態や卵の成分を改善できる可能性が示唆された。
日本畜産学会2021年 春季大会 講演要旨
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