○西山由紀・梅田雅・石川千洋1・小林元太・山中賢一・和田康彦
(佐大農・1(株)クリエイト)
【目的】
家畜家禽において,乳酸菌を飼料添加物として使用することは,家畜の発育や免疫活性の向上に有効であることが知られている.演者らは新世代シーケンシング技術を用いて,乳酸菌製剤添加飼料を給与したブロイラーの小腸のRNA-Seqを実施し,リゾチームg likeなどの遺伝子において発現に有意な変動があることを報告している.そこで本研究では,白色レグホーンを用いた乳酸菌製剤添加飼料の給与試験を行い,RNA-Seqで発現量が有意に変動した遺伝子について,リアルタイムPCRを用いた空腸と回腸での遺伝子発現量の分析を行った.
【方法】
家畜改良センター岡崎牧場の白色レグホーン系統を用いて乳酸菌入り製剤5%添加区,乳酸菌なし製剤5%添加区,コントロール区の3区を設定し,計15羽を孵化後50日間飼育した.試験終了後,空腸と回腸の組織サンプルを採取し,各サンプルからtotal RNAを抽出した.各遺伝子についてOne Step SYBR PrimeScript RT-PCR Kit Ⅱ(タカラバイオ)を用いたリアルタイムPCRを実施し,各サンプルのCq値を求めた.リアルタイム用のプライマーはPrimer-BLASTを用いてイントロンをはさむように設計した.ベータアクチンを対照遺伝子とする⊿⊿Cq法によってコントロール区に対する発現量比を算出した.
【結果】
RNA-Seqで乳酸菌製剤添加飼料区において発現量が大きく増加したリゾチームg like遺伝子については,空腸の乳酸菌入り製剤区で1.16倍,乳酸菌なし製剤区で1.45倍,回腸の乳酸菌入り製剤区で1.21倍,乳酸菌なし製剤区で1.83倍と,すべてコントロール区よりも発現量が高くなる傾向が示された.また空腸よりも回腸,乳酸菌入り製剤区よりも乳酸菌なし製剤区の方が発現量が高くなる傾向が示された.interferon-induced protein with tetratricopeptide repeats 5遺伝子においても空腸の乳酸菌入り製剤区で1.52倍,乳酸菌なし製剤区で1.47倍,回腸の乳酸菌入り製剤区で1.46倍,乳酸菌なし製剤区で1.71倍と,すべてコントロール区よりも発現量が高くなる傾向が示された.
日本暖地畜産学会 2016年10月
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