佐賀大学農学部生物生産学科 畜産学実験実習 講義テキスト 科目ホームページ
血液からのDNA抽出
鶏(ウズラ)からの採血
- 凝血防止液(生食EDTAあるいは血液凝固防止剤)を15ml遠沈管に12ml程度入れておきます。。
- 凝血防止液(生食EDTAあるいは血液凝固防止剤)をシリンジに1.0ml取り、空気を出します。
- 採血は2人1組で行い、1人はしっかりと保定します。もう1人は翼状静脈から採血します。静脈に並行に針を入れ、その後で静脈の方へ針を刺して軽く引きます。
- 血液がシリンジに入ってきたらゆっくりと引いて血液を採取します。
- ウズラの場合は血管が破れやすいので注意します。
1.0ml程度採取できれば針を抜き、軽く転倒混和します。
- シリンジの目盛を読み、15ml遠沈管に採血年月日、系統名、個体番号、性別、血液量を油性マジックで書き込み、シリンジの血液を遠沈管に注ぎ、転倒混和します。
- 遠沈管は冷蔵庫で立てて保存します。冷凍保存する時は数時間冷蔵庫または室温で立てて放置した後、-20度のメディカルフリーザーに移します。
長期に保存する場合には、2mlのクライオチューブに分注後、-85度のストッカーに移します。
キットを用いた血液からのDNA採取
ここではPureGeneを用いて家禽血液からDNAを採取します。この工程ではサンプル以外のDNAのコンタミをいかにして防ぐかが鍵になります。
鳥類の赤血球には核があるので、全血からのDNAの抽出の場合、ほ乳動物にくらべて使用する血液量を減らさないといけません。
このキットは塩析法を用いています。塩析法の基本実験は生産生物学実験実習Iで行っています。
- 1.5mlチューブにCell Lysis Solution 600マイクロをサンプル数だけ分注する
- ヘパリン処理鳥類全血(末梢血)12マイクロを上記チューブに加え、3−5回ピペティングする。
この時に凝血部分を入れないように注意する。
- cell clumpがなくなるまで37度で時々転倒混和しながらインキュベートする。
- サンプルを室温に戻し、Protein Precipitation Solution200マイクロをチューブに加える。
- 20秒間激しくボルテックスしてcell lysisを均一化した後に、15000gで3分間遠心する。
- その間にエアーインキュベータを65度にセットしておく。
- 新しい1.5mlチューブに遠心後のチューブの上清を移す。
- 600マイクロの100%イソプロパノールを加えて50回、転倒混和する。
- 15000gで1分間遠心する。
- 上清をきれいに取り除き、チューブの蓋をあけたままキムワイプの上に立てて軽くたたき、蓋のまわりのアルコールを取り除く。
- 300マイクロの70%エタノールを加えて、3回転倒混和し、15000gで1分間遠心する。
- 注意深く上清を取り除き、先ほどと同様に蓋のまわりのアルコールを取り除き、蓋をあけたまま15分間、室温で風乾する。
- DNA Hydration Solution 50マイクロを加えて、軽くボルテックスし、スピンアウトして65度のエアーインキュベータで1時間インキュベートする。
- 抽出したDNAを分光測定し、4度またはマイナス20度で保存する。
後かたづけ
- 試薬類、マイクロピペット、チップラックなどを元に戻します。
- ピペットチップ、最初に使った2mlのチューブの中身を大量の水とともに流し、よく水洗いします。
- 2つのガラス瓶も中身を大量の水とともに流し、よく水洗いします
- クリーンベンチ内をDW水を含んだペーパータオルで拭き、10分程度紫外線殺菌灯を点灯します。
最終更新年月日 2003年7月11日
佐賀大学 農学部 動物生産学分野 和田研究室
ywada@cc.saga-u.ac.jp