佐賀大学農学部 応用生物科学科 動物資源開発学分野 和田研究室
豚の皮膚厚や乳頭数などのQTLを発見
中国豚の多くは発育速度が遅く、皮膚が厚く、粗食に耐えることが知られています。特にそのなかの梅山豚は産子数がヨーロッパ品種の豚に較べて格段に多いので有名です。そこで、繁殖能力の弱いゲッチンゲンミニ豚と梅山豚の交雑F2家系を作成し、全ゲノム領域にDNAマーカーを配置して、QTL解析を実施しました。
その結果、皮膚の厚さや乳頭数、椎骨数、生時体重やDG、皮下脂肪の厚さなどのQTL(量的形質関連遺伝子座)を発見しました。特に、皮膚の厚さと乳頭数のQTLは世界で初めての報告です。皮膚の厚さは免疫能力と関連があるとの報告もあり、皮膚の厚さのQTLの発見は抗病性育種への道を切り開く可能性があります。また、産子数が多くても乳頭数が少ないと育成子豚数が少なくなるために、乳頭数は養豚業においては重要な形質で、このQTLが発見されたことは大きな成果です。さらに、椎骨数のQTLが発見された第1染色体のq末端近くの領域は、遠い昔にMHC領域が重複して形成された領域で、ゲノム進化の観点から注目されています。そして、皮下脂肪の厚さのQTLが同定された第7染色体の領域は、まさにMHCの存在する領域であり、今回の研究結果は新しいタイプの家畜育種の可能性を示すとともに、ほ乳動物のゲノム進化の研究にもインパクトを与えるものです。
"Quantitative trait loci (QTL) analysis in a Meishan x Gottingen cross population", Animal Genetics 31(6), 376-384, 2000. Wada et al.
研究紹介
- 研究トピックス
- 家畜家禽における経済形質に関与する遺伝子の探索
- 家畜家禽の核内受容体遺伝子についての研究
- 家畜家禽のミトコンドリアDNAについての研究
- 脊椎動物のゲノム進化についての研究
- 家畜家禽におけるゲノム情報学
- 家畜家禽における連鎖解析
- 家畜家禽における効率的な育種改良技術の開発
- 2000年オープンキャンパス用ポスター(Powerpoint 1.6MB)
- 2001年オープンキャンパス用ポスター(Powerpoint 16.0MB)
最終更新年月日 2001年10月15日
ywada@cc.saga-u.ac.jp
Wada's Lab.