佐賀大学農学部生物生産学科 畜産学実験実習 講義テキスト 科目ホームページ
トランスフォーメーション
大腸菌にプラスミドベクターなどを導入することを形質転換(トランスフォーメーション)と呼びます。
大腸菌は通常、プラスミドなどに侵入されないように細胞膜で被われています。
トランスフォーメーションをさせるには、大腸菌をプラスミドが侵入できるように処理する必要があります。
このような処理をした大腸菌をコンピテントセルと呼びます。
コンピテントセルには、化学的に処理したケミカルコンピテントセルと、
電気ショックによってトランスフォーメーションさせるエレクトロコンピテントセルがあります。
通常のTAクローニングではケミカルコンピテントセルで十分ですが、
ライブラリの作成時や高い形質転換効率が必要な場合にはエレクトロコンピテントセルを用います。
今回はエレクトロコンピテントセルを用いたエレクトロポレーションを行います。
実験手順
- 適当な抗生物質入りのLBプレートを4枚、37度のエアーインキュベータにふたをずらせて入れておく
- LB液体培地も4本、37度の別のエアーインキュベータで保温する
- キュベットを氷で冷やしておく
- エレクトロコンピテントセル100マイクロリットルをゆっくり解凍する
- 新しいチューブ4本にエレクトロコンピテントセルを25マイクロずつ分注し、氷上で保冷する
- プラスミドDNA溶液5マイクロリットルをエレクトロコンピテントセルを入れたチューブに加えて、氷上で5分間インキュベーションする
- 上記の溶液をすみやかにキュベットに入れ、チャンバーにセットしてパルスを打つ
- すみやかにLB培地をキュベットに入れて攪拌し、溶液を全量回収し、エアーインキュベータで1時間振とう培養する
- 上記LB培地を50マイクロリットルとって、抗生物質入りのLBプレートにまく
- LBプレートを37度で一晩培養する。
注意事項
- プラスミドDNA溶液は精製済みのものを用いること
- パルスを打った後は、すみやかに37度振とう培養すること。
最終更新年月日 2004年1月5日
佐賀大学 農学部 動物生産学分野 和田研究室
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