佐賀大学農学部応用生物科学科 動物資源開発学実験実習 講義テキスト 科目ホームページ
ゲルからのDNA抽出
PCR産物を電気泳動すると、目的のバンドの他に非特異的な増幅によるバンドや、
プライマーダイマーなどが現れることがあります。
これらはTAクローニングやシーケンス決定にとって障害になりますので、
目的のバンドのDNAのみを抽出する必要があります。
今回は、タカラバイオのRECOCHIPを用いたバンドDNAの抽出を行います。
RECOCHIPは不織布と透析膜を加工した小さな板状のもので、
DNAバンドの正極側のゲルに差し、電気泳動によりDNAをチップ内にトラップします。
トラップしたDNAを遠心により回収し、エタノール沈殿で精製します。
実験手順
- 1.2%アガロースゲル(0.5xTBE)を作成する
- PCR産物(10μl)とローディングダイ(3μl)をウェルにアプライする
- 100bpラダーマーカー(5μl)をアプライし、電気泳動する
- 適当に泳動したら紫外線をあててバンド位置を確認し、正極側のゲルに黒色面をバンド側にしてRECOCHIPを差し込む
- 5分程度泳動したらRECOCHIPを取り出し、付属のチューブに入れて5000rpm 1分遠心する
- RECOCHIPを取り出し、3M酢酸ナトリウム(5μl)、20mg/mlグリコーゲン溶液(1μl)、
100%エタノール(1ml)を入れて、30回転倒混和する
- メディカルフリーザーで10分間静置する
- 4℃15000rpmで20分間遠心する
- 上清をマイクロピペットでていねいに取り除き、70%エタノールを300μl加えて、4℃15000rpmで遠心する
- 上清をマイクロピペットでていねいに取り除く
- 遠心エバポレータで37度4分間乾燥する(静電気で白沈が飛び出すことがあるので注意すること)
- 精製水25μlを加えて沈殿をとかし、常温で10分間静置する
- サンプル5μlを精製水で10倍に薄めて、分光光度計でDNAの濃度と純度を測定する
最終更新年月日 2006年1月12日
佐賀大学 農学部 動物生産学分野 和田研究室
ywada@cc.saga-u.ac.jp