佐賀大学農学部 応用生物科学科 動物資源開発学分野 和田研究室

くらしの中の生命科学 2010年度質疑応答

ネット授業については佐賀大学e-Learningシステムをご覧ください。

2011年2月2日に実施しました質疑応答の模様をアップしております。

質問1

核内受容体というものを以前講義で耳にし、授業を受けました。

核内受容体に働く物質はインスリンをはじめビタミンなどにも多くありますが、なぜ核内に受容体が必要なのかということについて疑問に感じています。

核外にあったほうが受容体の発現も行いやすいし、反応も早いのではないかと思いました。

==> 回答音声

==> 板書スナップショット (1) (2) (3)


質問2

第9回核内受容体遺伝子の分子生命科学の中で、ホルモンは分泌細胞から標的細胞に体液を通して働くと内容ですが、その分泌細胞となるのはどこの細胞で、標的細胞となるのはまたどこの細胞ですか?

様々なホルモンが存在し、それぞれの分泌細胞と標的細胞もあると思いますが、(間違ったらすみません)  その中で典型的な例はありますか。

==> 回答音声


質問3

マイクロサテライトについて、ゲノムDNAのコピーの際に2塩基の繰り返し数を間違えやすいという事でしたが、何故繰り返し数を間違えやすいのでしょうか。

また誤ってコピーされた事による影響はあるのでしょうか。

よろしくお願いします。

==> 回答音声


質問4

レポートにもありましたが、長鎖散在性反復配列について私なりに調べはしましたが、それらのゲノムが存在する意義(目的)があまりよく分かりませんでした。

基本的なことかも知れませんが、説明いただけるとありがたいです。

==> 回答音声


質問5

ヒトには血液型がありますが一般的にA型、B型、O型、AB型と分けられています。しかし子供ができるときにはいくつものパターンがあると聞いています。

・例えば父(A)母(A)ならば子供は(A)または(O)が生まれる

これは父(AO)母(AO)の時であり、父(AA)母(AO)の時は成り立たないのでしょうか?また輸血の時などは必ず同じ血液型しか使ってはいけないのでしょうか?もうひとつの疑問ですが、ドナーなどの移殖をした場合血液型が変わることはありますか?

==> 回答音声


質問6

はしか、おたふく風邪は一度かかったらもうならないのになぜ風邪は何度もひくのでしょうか?

また、インフルエンザの予防接種は1年ほどしか効果が無いのはなぜですか?

==> 回答音声

関先生からの回答

おたふく風邪は、ムンプスウイルスにより引き起こされます。 一度、かかると免疫ができますので、通常再度かからなくなります。

※しかし、例外があり、かかる場合もあります。 それに対して、風邪とは「いわゆる風邪のような症状」をさしますので原因は、ウイルスなどいろいろです。

なので、一つの原因に対応できても、他の原因で風邪をひくということになります。 同様に、インフルエンザを引き起こすウイルスもたくさんあり感染したことのあるウイルス以外には対応できないということになります。

ちなみに、インフルエンザウイルスは、変異しやすい性質を持っています(特にA型)。 例年、世界各地の情報から次の年にはやりそうなインフルエンザのタイプを予想する人がいてその情報を基に、予防接種が行われています。 また、次の年には違うインフルエンザがはやるので、予防接種を受けるということになります。


質問7

アレルギーには四つの型がありますが、その中のI型アレルギーが直ぐに症状が現れるのに対しIV型アレルギーは一日から二日経たないと症状が現れないという違いはどこから来ているのでしょうか。Ⅰ型にはB細胞、Ⅳ型にはT細胞とが深く関わっているそうですが、それが原因なのでしょうか。B細胞もT細胞も獲得免疫なので、反応自体は感染するごとに早くなると思うのですが。

講義内容からは少し外れた質問かもしれませんが、気になりましたのでお答えいただけると幸いです。

==> 回答音声

==> 板書スナップショット

関先生からの回答

I型アレルギーは液性免疫、IV型アレルギーは細胞性免疫ですね。IV型は液性免疫と異なり、抗原と特異的に反応した感作Tセルからマクロ ファージを活性化する種々の生理活性物質が遊離し周囲の組織障害を起こすタイプです。 リンパ球が集まり、それから増殖、活性化などの行程があり、時間がかかってしまいます。

ツベルクリン反応をやったことがあるでしょうか?
注射してから反応が出るまで、1-2日かかりますね。

それに対して、I型アレルギーは、IgE(抗体の一 種)が、IgE受容体を有するマストセルや好塩基球と 呼ばれる細胞に結合します。 そこに抗原がくっつきます。 すると、すみやかに細胞がヒスタミンやセロトニンと呼ばれる生理活性物質を放出し、血管拡張や血管透過性亢進が起こり、 アレルギー症状が引き起こされます。

この反応は抗原が体内に入ると、すぐに生じます。 花粉症なんかがいい例ですね。

花粉が鼻につくと、すぐくしゃみや鼻水、涙に目のかゆみなどが起こるでしょ。 最近のおもしろい研究で、ある種のお茶に含まれるカテキンの一種は、このIgE受容体の発現を抑制することが明らかになりました。 つまり、このお茶を飲むと、花粉が鼻についても、細胞は刺激されないのでヒスタミン等は放出されず、アレルギー症状も起きません。 おもしろいですね。

ちょっと、怖い話をすると、I型アレルギーには、 そばやピーナッツアレルギーといった食品アレルギーや、すずめ蜂に2度刺されたときに起きるアナフィラキシーショックがあります。

これは命に関わります。 エピネフリン(米名)の投与が有効です。 ちなみに、日本ではアドレナリンと呼ぶようになってきました。 アドレナリンについては、おもしろいエピソードがありますので、ぜひ調べてみてください。


質問8

講義の中で,深在性真菌症は近年の医療の進歩に伴って多発傾向にある,とありましたがそれに対して現在の医学では何か対応策はとられているのでしょうか?

関先生からの回答

主な原因となっている真菌についての研究は、継続的に行われています。 各真菌の生物学的特徴や感染、増殖機構についての研究とともに、新薬の開発も進んでいます。

近年、真菌の細胞壁合成阻害剤であるキャンディン系抗真菌薬の開発で、ヒトに対して副作用が少ない抗真菌剤が利用できるようになりました。 臓器移植の際など、真菌感染が危惧される場合、今まで、使用されてきた抗真菌剤と併用することにより、大きな期待ができます。

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最終更新年月日 2011年2月3日

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