佐賀大学農学部応用生物科学科 生物情報処理演習 講義テキスト 科目ホームページ
飼料の種類をA, B, Cとして、各処理区に黒毛和種去勢牛を9頭ずつ配置 しました。このように実験を始める前に処理区ごとにどのような データ数とするのかを決めたものを実験計画と言います。 実験計画を立てる時には必ず実験終了後にどのような統計処理を するのかを考えておく必要があります。
この例のように処理の種類が1種類のものを一元配置分散分析法と 呼びます。飼料の種類と品種の違いを同時に検討するような 実験計画の結果を統計処理する時には二元配置分散分析法を用います。
それでは実際にMS-Excelを使って一元配置分散分析法の例題を見てみましょう。 飼料Cの区だけ1頭増体停滞のため除外しています。
分析ツールの「分散分析:一元配置」を選択して、データ範囲を 指定して、「データ方向の列」のところと「先頭行をラベルとして 使用」をチェックしてOKボタンを押してください。
一元配置分散分析法では一番下の分散分析表に示されているように、 グループ間の分散とグループ内での分散の比をF検定します。 すなわち飼料が違うことによる分散と同じ飼料の中での分散が 等しいとする帰無仮説を立てて、分散比の検定をしています。
観測された分散比の値がFの境界値(ここでは5%水準の値)よりも 大きいので飼料の効果が有意であることがわかります。P-値は 0.01よりも小さいので1%水準で有意ですね。
次に二元配置の分散分析法を見てみましょう。 二元配置では繰り返しのある場合とない場合で計算方法が異なります。 ここではよく使う繰り返しのある場合について解説します。
先ほどの例と同じ飼料をホルスタインの去勢牛に与えてみました。 ただし、頭数は1飼料区当たり5頭です。 繰り返しのある二元配置の場合、MS-Excelの分析ツールでは 繰り返し数を等しくしなければなりません。 そこで、黒毛の5頭とホルスタインの5頭のデータを使って計算してみます。 MS-Excelでは下記のようにデータを入力してください。
ラベルも含めてデータ範囲を指定して、1標本あたりの行数をここでは5 とします。
一番下の分散分析表を見てみましょう。 変動要因のところの標本はここでは品種の、列は飼料のことですね。 交互作用とは品種と飼料の組合せの違いによって差があるかどうかを 調べるためのものです。
品種、飼料ともに観測された分散比はF境界値よりも大きく、 P-値からともに1%水準で有意であることがわかります。 一方、交互作用は5%水準でも有意ではありませんでした。
最終更新年月日 2008年10月1日