佐賀大学農学部応用生物科学科 情報基礎演習 講義テキスト 科目ホームページ
t検定には対応のあるデータに対するものと対応のないデータに対するものがあり、それぞれは若干計算方法が異なります。
対応のあるデータとは同じ個体群に対して時期をずらして2つの処理を行い、その処理間に差があるかないかを調べる場合などのことです。
一方、対応のないデータとは、例えばウズラのLL系統とSS系統において産卵率に差があるかどうかを調べる場合などのことを言います。
t検定における帰無仮説は「2集団の平均値に差がない」というものです。
計算したt値が当該自由度におけるt分布表の値よりも大きい場合、この帰無仮説は棄却されます。
すなわち、2集団間の平均値には有意差があるということになります。詳しい理論と計算方法については数理統計学あるいは生物統計学の教科書などを参考にしてください。
この演習ではMS-Excelの分析ツールを用いた計算方法を示します。
ここでは、ウズラLL系統の同一個体群について、12週齢体重と15週齢体重に差があるかどうかを検定します。
「データ」の「データ分析」の「t検定:一対の標本による平均の検定」を選択します。「分析ツール」が見当たらない場合には、「アドイン」の「分析ツール」のところにチェックを入れてOKボタンを押してください。
変数1の範囲に12週齢体重の範囲を、変数2の範囲に15週齢体重の範囲を指定して、OKボタンをクリックします。
普通は自由度とt値についてt分布表を引いて検定するのですが、分析ツールではt分布表を引いた結果がすでに P(T<=t)両側 として示されています。
これは、帰無仮説が正しいにもかかわらず誤って帰無仮説が棄却される確率を表しています。
通常はP<0.05で5%水準で有意差ありと考えますので、LLの12週齢体重と15週齢体重には有意差がないという結論になります。
「データ」の「データ分析」の「t検定:分散が等しくないと仮定した2標本による検定」を起動します。 変数1の範囲にLLのデータの範囲を、変数2の範囲にRRのデータの範囲を指定してOKボタンをクリックします。
検定結果の見方は先ほどの場合と同じです。
P(T<=t)両側の値が1.16E-30となっていますが、これは 1.16に10のマイナス30乗をかけた値ということで、非常に小さな値です。
0.01よりも小さいですから通常は1%水準で有意差ありと判断します。
念のために、2集団間の等分散の検定をしておきます。
この検定はF分布を用いるのでF検定と呼ばれます。
「データ」の「データ分析」の「F検定:2標本を使った分散の検定」を起動して、先ほどと同じデータを変数1と変数2に指定してOKボタンをクリックします。
予想通り P(T<=t)両側の値は非常に小さいですね。
1%水準で2集団の分散には差があると言えます。
従って、先ほどのt検定で「分散が等しくない」と仮定したのは正しかったことが証明されました。
2集団間の等分散の検定(F検定)
上の例では2集団の分散が等しくないと仮定しました。
最終更新年月日 2013年6月20日