問題1 高病原性鳥インフルエンザの症状、病原体、防疫方策などについて詳しく説明しなさい(10点) 高病原性鳥インフルエンザは鶏にとって非常に感染力が強く、かつ致死性の高い法定伝染病であり、病原体はA型インフルエンザウイルスの強毒株である。症状は肉冠・肉垂のチアノーゼ,出血,壊死,顔面の浮腫,脚部の皮下出血などの臨床症状を呈するが、このような症状を示さない場合もある。 高病原性鳥インフルエンザは放置すると鶏産業の崩壊にもつながりかねない。 従って、発生が確認された鶏舎のみならず近隣の鶏舎も含めて、すみやかな移動禁止処置の発動と発生農場の全鶏個体の殺処分、鶏舎等の消毒などの対策が必要である。 また、野鳥によるウイルス伝播の可能性も示されているので、鶏と野鳥が接することのないように鶏舎内部の鶏を外部から隔離することが必要である。 また、高病原性鳥インフルエンザは希にヒトでも発病することがあるので、罹患した鶏からヒトが感染しないように注意しなければならない。 さらに、高病原性鳥インフルエンザウイルスは、ヒトやブタの体内で、ヒトへの感染力の高いインフルエンザウイルスと組換えを起こして、高病原性のヒトインフルエンザウイルスに進化する危険性がある。 このため、常時、ヒトや家畜家禽に感染しているウイルス株をモニターするとともに、世界的大流行に備えて、タミフルなどの抗ウイルス剤を備蓄しておく必要がある。 問題2 わが国の肉牛育種の現状について詳しく説明しなさい(10点) わが国では、肉用種としておもに黒毛和種、褐毛和種、日本短角種が飼育されているが、それぞれの品種ごとに育種改良がおこなわれている。 黒毛和種の場合は、さらに道府県ごとに育種改良がおこなわれていて、育種のための基礎集団が小さいため改良速度が遅く近交退化が起きやすくなっている。 種雄牛については2段階選抜が実施されており、まずステーション検定である直接検定で若雄牛の発育や飼料の利用性、精液性状や遺伝病遺伝子の有無などをもとに1/3程度の選抜を行い、調整交配によって生産された子牛の肥育成績や枝肉成績をもとに判断するフィールド検定を実施し、優秀な成績のものを検定済種雄牛として、各道府県の基幹種雄牛として利用している。 フィールド検定などで得られた肥育成績や枝肉成績は血統情報とともにアニマルモデルBLUP法にかけられて、種雄牛や繁殖雌牛の育種価推定値が算出、公表されている。 問題3 レギュラーハム、ボンレスハム、ロースハム、プレスハムの違いについて詳しく説明しなさい(10点) レギュラーハムはJAS規格における骨付きハムのことで、ブタの骨付きモモ肉を塩漬、燻煙したものである。 ボンレスハムはブタのモモ肉から骨を抜いて糸などで成型後、塩漬、燻煙したものである。ロースハムは材料にブタのロース肉を使用したものである。 プレスハムは、畜肉をケーシングなどに詰めて、塩漬、燻煙などをして、ハムに似せた食品である。
最終更新年月日 2025年2月3日