佐賀大学農学部 応用生物科学科 動物資源開発学分野 和田研究室
分子生物学実験の基礎とバッファーの調整
分子生物学実験での注意事項
- 分子生物学実験は基本的に微量実験です。
- 1.5mlあるいは0.5ml, 0.2mlのチューブを使用
- 試薬やサンプルはμl単位で計量
- ディスポーザブルのチップやチューブを使用します
- ガラスで微量容器を作製するのは困難
- DNAはガラスに吸着します
- 小さな容器を完全に洗浄するのは困難
- 核酸や核酸分解酵素のコンタミを防ぐ
- カビや細菌、ウイルスなどの生物はDNAやRNAを大量に保持
- フケやアカなどにもDNAが多く含まれています
- DNA分解酵素 37度前後でDNAを分解
- RNA分解酵素 かなり安定な酵素
- さまざまな規制
マイクロピペットの扱い方
- 分子生物学実験ではディスポーザブルのチップを装着するマイクロピペットを使用します。
- 基本的には1回の計量、分注ごとにチップは交換します
- 空のチューブに同じ溶液を分注する場合や、チップを汚さずにカラムなどに分注する場合はチップを交換しない
- マイクロピペットのパッキングは消耗品です。デッドボリームが多くなったら交換しましょう。
プレウェッティング法
- 溶液の中にチップを入れて、第1ストップの範囲内で2,3回吸い上げ、放出をする(プレウェッティング)
- 第1ストップまでプッシュボタンを押してから溶液の中にチップを入れて、ゆっくり完全に吸い上げる
- 容器の内壁にチップの先端をつけてから容器の外へ出す(タッチアンドゴー)
- 分注する容器の中にチップを入れて、ゆっくりプッシュボタンを最後まで押して、溶液を全量排出する(ブローアウト)
- タッチアンドゴー
- チップを捨てる
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- チップを交換しない場合は、プレウェッティングは最初だけで良い
共洗い法
- すでにバッファーなどがチューブに入っている場合に行う。特に粘性が高い溶液や採取量が10μl以下の場合は、共洗い法を使用します。
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- 第1ストップまでプッシュボタンを押してから溶液の中にチップを入れて、ゆっくり完全に吸い上げる
- 容器の内壁にチップの先端をつけてから容器の外へ出す(タッチアンドゴー)
- 分注する容器の中にチップを入れて、ゆっくりプッシュボタンを第1ストップまで押して溶液を排出する
- そのチューブ内で、第1ストップの範囲内でバッファーなどの溶液を2,3回吸い上げ、放出をする(共洗い)
- ゆっくりプッシュボタンを最後まで押して、溶液を全量排出する(ブローアウト)
- タッチアンドゴー
- チップを捨てる
ピペット計量 コンテスト
マイクロピペットで純水を2度計量し、誤差を測定します。
- 空の1.5mlエッペンチューブの重さを正確に計る
- 1.5mlエッペンチューブにプレウェッティング法で200μl分取する
- 5回繰り返してチューブと純水の合計を正確に測定して採取した純水の量を見積もる
- 同じ事を繰り返す
- 1回目と2回目の純水量の差を求める
TBEバッファーの作成
バッファー(緩衝液)とは濃度や組成などが多少変化してもpHが変化しないようになっている溶液のこと。
さまざまな物質の保存や化学反応、物質の分離時に使用される。
TBEバッファーはDNAのアガロースゲル電気泳動用のバッファーで、
導電性のバッファーである。
バッファーやさまざまな試薬は保存性とスペースの節約のために高濃度のストック溶液を作成し、保存しておく。
実際に使用する場合には、適当な濃度に純水などで希釈して使用する。
準備するもの(8班分)
- 200mlビーカー x8
- 100mlメスシリンダー x8
- スターラー(あるいはガラス棒) x8
- 電子天秤 x8
- ホウ酸 100g程度
- トリズマベース 200g程度
- 0.5M EDTA溶液(pH8.0) 50ml程度
- 試薬瓶 x8
- 薬さじ x8
- 薬包紙、試薬ラベル、手袋
実験手順
- 200mlのビーカーを用意する
- 電子天秤でトリズマベース5.4gを計量し、ビーカーに入れる
- ホウ酸2.8gを計量し、ビーカーに入れる
- 0.5M EDTA (pH8.0) 2mlを1ml用のマイクロピペットで計量し、ビーカーに入れる
- 純水80mlをビーカーに入れてガラス棒で溶かす
- 溶けたらメスシリンダーに移し、純水で100mlにメスアップする
- 試薬瓶に移し、試薬ラベルを貼る
最終更新年月日 2013年12月8日
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