烏骨鶏と白色レグホーンにおけるプロラクチン遺伝子領域周辺の連鎖不平衡ブロックについて


岳 佳に1・松田莉朋1・ローシャン ジャーハン1,2・下桐 猛3・穴井豊昭1・和田康彦1

1 佐賀大学農学部、佐賀県佐賀市本庄町 840-8502
2 鹿児島大学大学院連合農学研究科、鹿児島県鹿児島市郡元 890-8580
3 鹿児島大学農学部、鹿児島県鹿児島市郡元 890-8580


要 約

 白色レグホーンのプロラクチンのプロモーター領域には、烏骨鶏や赤色野鶏には認められていない24-bpの挿入が存在する。また、大分県畜産試験場の烏骨鶏選抜集団第4世代の311羽にはIn/In型の個体は存在しないことが報告されている。そこで、本研究では烏骨鶏の就巣性と産卵率の改良を目的として、プロラクチン遺伝子領域の周辺に1塩基多型マーカーを開発し、烏骨鶏と他の鶏品種との間での連鎖不平衡ブロックについて検討した。24-bpの挿入の有無に加えて、プロラクチン遺伝子の転写開始点上流(cPRO1d; -3764)と転写終了点下流(cPRO5b; +607, cPRO2b; +3643)の3か所の1塩基多型について、日本各地から収集した烏骨鶏53羽、日本在来品種19羽、レイヤー23羽、その他の品種22羽の遺伝子型判定を行った。その結果、cPRO2bでは烏骨鶏の遺伝子型はGG 37羽、GA 14羽、AA 2羽であり、レイヤーではGG 0羽、GA 1羽、AA 22羽であった。cPRO5bにおいても烏骨鶏でGG 36羽、GC 13羽、CC 4羽であり、レイヤーでは全個体がAA型であった。烏骨鶏とレイヤーとの間のχ2値はcPRO1dで24.0、In/Del変異で76.0、cPRO5bで59.9、cPRO2bで62.9とすべて有意であることからプロラクチン遺伝子領域周辺に連鎖不平衡ブロックが存在することが明らかとなった。一方、烏骨鶏とその他の品種の間のχ2値は全てのマーカーで有意ではなかったが、烏骨鶏と日本在来品種との間ではIn/Del変異とcPRO5bにおいて5%水準で有意であった。また、レイヤーとその他の品種の間およびレイヤーと日本在来品種の間のχ2値は全て1%水準で有意であった。

日本家禽学会誌 48(J2): J63-J68, 2011

佐賀大学農学部応用生物科学科 動物資源開発学分野 和田研究室