烏骨鶏選抜集団におけるプロラクチン遺伝子プロモーター領域の24-bpの挿入と生産形質との関連性

和田康彦1・中牟田裕子1・岳 佳?1・松田莉朋1・阿部正八郎2・阿南加治男2

1佐賀大学農学部、佐賀県佐賀市本庄町 840-8502
2大分県農林水産研究センター畜産試験場中小家畜・環境担当、大分県豊後大野市三重町 879-7111

要 約

 烏骨鶏は古来より薬用鶏として珍重されているが、就巣性が強く、そのため産卵率が低く生産効率が非常に悪い。 プロラクチン遺伝子は就巣性の開始や持続に必須の遺伝子であると考えられているが、この遺伝子のプロモーター領域に烏骨鶏と比較して白色レグホーンで24-bpの挿入があり、この挿入配列の有無と就巣性との関連性が疑われている。

そこで、このプロラクチン遺伝子プロモーター領域の24-bpの挿入の有無について、烏骨鶏の選抜集団第4世代について遺伝子型判定を行い、産卵率などの生産形質との関連性を検討した。

 大分県畜産試験場において産卵率について選抜された烏骨鶏選抜集団の第4世代の雄69羽、雌242羽を材料とした。これらの個体の全血からDNAを抽出し、PCRによりプロラクチンのプロモーター領域を増幅し、3%アガロースゲル電気泳動で24-bpの挿入の有無を断片長によって判定した。 遺伝子型判定の結果はDel/Del型282羽、In/Del型29羽でIn/In型の個体は1羽も存在しなかった。

 また、産卵率などの生産形質について、この遺伝子型を主効果とする分散分析を実施し、遺伝子型と生産形質との関連性を検討した。分散分析の結果、プロラクチン遺伝子プロモーター領域の24-bpの挿入の有無は、雄の150日齢体重、450日齢体重、雌の150日齢体重、450日齢体重、151-450日齢での産卵率などの生産形質との間に有意な関連性は認められなかった。 Del/Del型の個体とIn/Del型の個体で151-450日齢での産卵率の羽数分布を調べたところ、Del/Del型の個体の分布とIn/Del型の個体の分布は重なり合っていたが、Del/Del型のピークは50-55%であったのに対してIn/Del型のピークは60-65%であり、In/Del型のピークの方が10%程度高い産卵率を示した。

                                                                 日本家禽学会誌 45: J82-86. 2008.

佐賀大学農学部応用生物科学科 動物資源開発学分野 和田研究室