産卵率にもとづいて選抜された烏骨鶏選抜第5世代における生産形質と2番染色体上の候補遺伝子との関連性について
ジャーハン ローシャン1, 松田智恵2, 松田莉朋2, 砂川知絵子2, MD ミザヌル ラハマン1, 小原瑛子2, 阿南加治男3, 和田康彦
1 鹿児島大学大学院連合農学研究科、鹿児島県鹿児島市郡元
2 佐賀大学農学部、佐賀県佐賀市本庄町
3 大分県農林水産研究指導センター 畜産研究部 豚・鶏チーム
要 約
烏骨鶏は古来より薬用鶏として珍重されており, 我が国でも高値で
取引されているが, 就巣性があるため産卵率が著しく低く生産効率が
悪い. 2番染色体上に位置するプロラクチンやVIP受容体遺伝子1,
neuropeptide Y遺伝子などの候補遺伝子が就巣性や産卵率, 初産日齢に
関連するという報告がある. これらの遺伝子マーカーによる改良の
可能性を探るために, 産卵率で選抜された烏骨鶏選抜第5世代について
各マーカーの遺伝子型判定を行い, 生産形質との関連性について検討した.
その結果, 日齢体重や産卵率, 平均卵殻強度のすべての形質で父鶏の
効果が1%水準で有意であったが, 候補遺伝子のマーカーの遺伝子型の
効果は有意ではなかった. 分散分析での父鶏の効果が有意であることから,
大分県の烏骨鶏選抜集団においては, 産卵率の遺伝変異が残っており,
さらなる選抜の可能性があることから, 産卵率などのQTLが検出されて
いる領域などについて, さらに検討する必要があると考えられた.
日本暖地畜産学会報 55(2): 115-120, 2012
佐賀大学農学部応用生物科学科 動物資源開発学分野 和田研究室