佐賀黒毛和種牛におけるEDG1遺伝子の１塩基置換と枝肉形質との関連性

和田康彦 1)、林田瑠美子 1)、礒兼妙子 1)、片渕直人 2)、大坪利豪 2)、山田宜永 3)、佐々木義之 4)

1) 佐賀大学農学部、佐賀市　840-8502
2) 佐賀県畜産試験場、武雄市　849-2305
3) 京都大学大学院農学研究科、京都市　606-8502
4) ビッグ研究所（株）、京都市　606-8502

和文要約

ウシのEDG1遺伝子は脂肪交雑責任遺伝子の候補として研究が進められており、EDG1の１塩基置換(+166A/G)が大分系統の黒毛和種集団で脂肪交雑と相関を持つことが報告されている。そこで、佐賀県で生産された黒毛和種の種雄牛と繁殖基礎雌牛と、佐賀県産種雄牛の糸晴栄の去勢息牛について、EDG1の１塩基置換と枝肉形質との関連性を検討した。種雄牛と繁殖雌牛の遺伝子型はAA 14頭、AG 14頭、GG 5頭であった。分散分析の結果、遺伝子型の効果は脂肪交雑では1%水準で有意であり、ロース芯面積では5%水準で有意であった。脂肪交雑ではGG型がAA型やAG型よりも有意に大きな脂肪交雑評点を持つことが示された。去勢息牛229頭の1塩基置換の遺伝子型は、糸晴栄がAA型で、去勢肥育牛ではAA 型100頭、AG型 129頭であったが、分散分析の結果では、遺伝子型の効果はすべての枝肉形質において有意性が認められなかった。

                                                       日本暖地畜産学会会報 VOL.52, NO.2, 37-41

佐賀大学農学部応用生物科学科　動物資源開発学分野　和田研究室